あらすじ
ある夜のこと、ゲブランド帝国の辺境に位置する小さな村に、一翼の竜が現れた。
竜は火焔をもって村を焼き払うと地に降り、そこで逃げ遅れていた貴族の令嬢ブランテスと出会う。
竜がブランテスを焼き払おうとした所に現れたのは、奴隷の少年ヘリンだった。
ヘリンの捨て身とブランテスの秘術により、竜の片目を奪うことに成功し、逃げ出すことができた二人。
逃げた先の物陰で口論しかけたが、現状の確認のほうが大事だとその場は収まる。
竜が吼え、夜空を見上げると、怒りを散らす竜がいた。
竜は二人を探しているようで、ヘリンは自分が囮になるからと言い残し、単身で竜の視界に飛び出してしまった。
ヘリンの蛮勇に怒りを覚えると同時に、彼を失ってはいけないと思ってしまったブランテスは、無謀と知りつつ人の身で竜へと挑むべく対抗策を練り上げ、ヘリンと共に竜に立ち向かう。
絶望的な竜との戦力差によって追い詰められ、最早これまでと進退窮まった二人を、闇夜を切り裂いて現れた召喚騎兵『ナイト』が救い出す。
見慣れぬ国章を身に着けた『ナイト』に、ブランテスは感謝と疑念を抱き、ヘリンは共闘を申し出る。共に竜を追い払ったヘリンたちに、『ナイト』は事件の元凶を語る。
肥大を極めた帝国より諸王国が独立し、その鎮圧と粛清のためにあの竜が放たれたのだと――これが、後に語り継がれる『カセドリア独立戦争』の一幕であった。