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イオの瞳は、此処ではない何処か遠くを見ていた。 目の前に広がる湖の、そのもっともっと先。 綺麗な瞳。 西洋人形の様に長い睫の。 まるで藍玉(アクアマリン)を其の侭填め込んだ様な。 僕は、彼女に恋をしていた。 「寒くない?」 「ううん、大丈夫。有難う。」 彼女の隣に座り込む。 イオは一瞬此方を見て、また直ぐ膝を抱えたまま、ただじっと先を見つめていた。 彼女が何を考えていたのか。 そして、彼女が見つめる先に何があるのか。 あの時の僕には、何も判っていなかった。
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