About "AT通信"
- FEZ内であまり役に立たない情報を、自分達が楽しみながら発信していく「組織」、またはその「情報媒体」です。
POWER PUSH EVENT
PICK UP
NOVEL
「ただ大切な人と―――」---著[レゴルス]---画[ちるね&みかん]---
第三項(完)
戦争終了。
結果は攻撃側カセドリアの勝利。
「お疲れーぃ」
「お疲れ様です」
フィーリアと豪が戻ってきた。
「クロス、大丈夫だったか?」
「うん……」
まだ半分程呆然としているクロスラード。
「? クロス? 何かあったのですか?」
「…兄さんが、助けてくれた」
「え!?」
「……そうですか」
納得したフィーリアは、クロスラードの頭を撫でた。
「いいお兄さんを持ちましたね」
「……フィーリアさん……」
笑顔で言うフィーリアを見て、彼は思わず涙が零れそうになった。
「豪さん」
「ん?」
「こういう事ですので、今後はクロスの行為を妨害しない事」
「えぇっ!?」
突然のフィーリアの言葉に驚愕する豪。
「何ですか? 貴方は兄弟の絆という物を否定するとでも?」
「え…あ…」
「たとえ他国に所属していようが兄弟は兄弟です」
「いやでもな…」
「……遠く離れた肉親と自由に会話させてやらない程心が狭いのですか?」
「う……」
とうとう口ごもってしまった。
口で勝てる者は稀なくらい、彼女の説得力は強い。
「……わぁったよ! 好きな時に世間話くらいなら許す!」
「…豪、ありがとう」
この時、彼は心の底から笑みを浮かべた。
数日後、アズルウッド森の区にて―――。
「え、上等兵から一等兵に下げられた? 大丈夫?」
また人混みから離れた場所で、またいつもの個人チャットをしている。
「まぁ、それでも軽い方、なのかな…。僕? 僕は大丈夫だよ。
こうして会話する事、やっと認めてくれたんだ。
……うん……うん、あれは本当に驚いちゃったよ。
僕の命を優先したなんて……えぇ、『ほんの少しな』て酷いなぁ」
「おーいクロス、そろそろジャコル行くぞー」
豪の部隊チャットで話し込んでいた事にようやく気づく。
「あ、ごめん兄さん。そろそろ次の戦争に行かなきゃ。
……うん……うん、兄さんも気をつけて」
一通り個人チャットを終えた彼は急いで荷物の整理をする。
「早くしろよー、もうすぐ始まっちまうぞー」
「分かったー」
手早く終えた彼は、次なる戦地に向けてフィールドアウトしていった―――。
「ノベル-AT通信-」作者と作品一覧
- 作者
- 作風
- 作品
※文章を閲覧される場合は、サムネイル画像をクリックして下さい。