About "AT通信"
- FEZ内であまり役に立たない情報を、自分達が楽しみながら発信していく「組織」、またはその「情報媒体」です。
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「3 color's」---著[ルジェリア]---画[ちるね&みかん]---
第六項
「ん・・・」
なんだか眩しい・・・嗚呼、朝なのね。
ふぁーと大きなあくびをしながらゆっくりと体を起こしてみる。
ユオンは隣で穏やかな寝息を立てて寝ている。
そうだ、あいつは何処かしら?
辺りを見渡してみる。帰ってきてるといいんだけど・・・
ウェルナはゆっくりと起き上がるとイリュアンを探し始める。
少し離れたところに大きな袋が見えた。
「?」
何かしら・・・と呟きながら近づいてみる。
その袋の裏側には、アイツが寝ていた。
ウェルナは「何でこんなところで寝てるのよ・・・」とぶつぶつ呟きながら
ごそごそと袋の中身を詮索し始めた。
「おおおわっ!!!」
「っ!?」
真後ろで聞こえたウェルナの声に驚いて、イリュアンが飛び起きた。
ナニゴト!?と慌てて短剣を構えながら出て行く。
ウェルナの大声の正体を見たイリュアンは「はぁ・・・」と大きなため息をつく。
強いモンスターでもいたのかと勘違いしたらしい。
袋の中身を詮索しているウェルナの瞳は生気に溢れていて、
なんだかすごく輝いていた。
「イーリュアンッ!何コレ何コレ!ドレス!?貰うわねっ!」
朝早いというのにウェルナのテンションは最高潮だった。
― 昨日殴ってたらオークの懐から出てきたものなんだが・・・
あとで店で売り飛ばそうかとも考えていたが、ああ。と返事を返した。
フリルのついた薄紫色の少し大人っぽいドレスを手に取り、満足そうなウェルナ。
ちゃっかりベーコンやらリジェネレートやらも取っているのは気づいていたが、
めんどくさいのでドレスごとあげることにした。
未だ興奮しているウェルナを放って寝ているユオンを起こしに行く。
「おい。ユオン・・・起きろ」
「んー・・・ん?あれ・・・イリュアン・・・おはよう」
ぽーっとした顔で挨拶をするユオン。
朝日を浴びてきらきらと輝く金髪は素直にかっこいいと思える。・・・寝癖が無ければ。
「朝ごはん採ってきたぞ。食うか?」
「うん。行く!」
朝ごはんと聞いてぱぁっと元気になる。
こういうところは昔と変わらないんだけどなぁ・・・
心の中で色々ぼやきながらパンやら水やらをユオンに手渡す。
「あ、ウェルナさんは?」
「嗚呼・・・なんかドレス洗いに行ってる」
「ドレス?」
・・・あげてよかったのだろうか。
拾い物のあのドレス。汚れていたのは気にしていないのだろうか・・・
そもそも何故俺が持ってたのか疑問に思わないのか・・・
まぁ、悩んでてもアイツのことはどうでもいいよな。と黙ってパンを放り込む。
「・・・なんかお披露目会とか勝手にほざいてたけどな」
「へぇ?。ウェルナさんドレス持ってたんだぁ」
何も疑問に思わってないユオン。
今頃あの派手好きの黒魔道士は川原で鼻歌歌いながら何も知らずにドレス洗ってるだろう。
あとで文句言われてもどうでもいいか。と思ったイリュアン。
― とりあえず、パンを食べるか。
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