About "AT通信"
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「3 color's」---著[ルジェリア]---画[ちるね&みかん]---
第七項
― パンなのか・・・しいたけなのか・・・
兵士達の間ではしいたけの名が固定しつつあるパンを一心に見つめるイリュアン
腕を組んで考える二人。
「パン味のしいたけ?」
「・・・それも違う気がする」
なんてどうでもいいことを考えているうちにすっかり冷えてしまったパン。
ユオンはいつの間にやら食べ始めていた。
― あまり深く考えないで食べるか
「むふふふふ~」
イリュアンがパンにかじりつこうとしたその瞬間、
真後ろからやってきた声に顔を思いっきりしかめた。
「・・・」
「あ、ウェルナさん」
ユオンが後ろを振り向くと、
紫色のふんわりとしたドレスを着たウェルナがいた。
身に纏っているのは間違いなく先ほどイリュアンがあげたドレスだった。
にやにやと笑いながらイリュアンの肩に手を置く。
ウェルナがイリュアンの顔を覗き込むと、
彼はわさびでも一気食いしたような苦い顔をしていた。
「・・・何よ。イリュアン・・・その顔」
「・・・えらくご機嫌だな。黒魔道士」
ふふふと笑い、くるくると回ってみせるウェルナ
「どう?似合って・・・」
「あーあ。パンが冷えちまったな」
「・・・」
ぶつぶつとウェルナの言葉を遮るようにイリュアンがつぶやく。
「とっても似合ってますよ!」
「ユオンくんありがと~!アイツと違って素直でかわいいなぁ~!」
ぎゅーっとユオンに抱きつくウェルナ。
顔を真っ赤にして手足をばたばたさせるユオン。
その隣で静かにパンを食べる後姿がつぶやいた。
「・・・なんだか、しいたけっぽい味がするな」
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